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反応時間測定ストップウォッチ

『いきいき物理わくわく実験』で紹介したものを生徒実験として使えるように以下の文章を考えました。
ただ与えられた実験をするだけと違い、自分がどのくらい早く反応できるのか知りたいので楽しく実験に取り組むことができます。
また、驚くほどに反応するのに時間がかかることを知り、びっくりしています。みなさんも自分の反応時間を調べてみてください。
君は一万円札をつかめるか
【原理】
一人がお札を鉛直に持ち、もう一人が向かい合って立ち、同じ高さで親指と人差し指でつかむように構えます。
次に予告なしに紙幣を落としてもらいそれをつかもうというのです。
「もしつかまえられたらそれをもらえるよ」などと呼びかけたりするととても盛り上がります。
そんなことをしなくてもみんな喜んで実験をしてもらえます。
実際には紙幣をつかむことは大変難しいことです。人の反射では遅すぎるのです。
図のなかにも書いてあるように
自由落下の公式を用いて紙幣が自由落下時したとき落ちる距離を時間ごとに計算して表を埋めてください。
自由落下の公式 落下距離y〔cm〕=(1/2)×980×t2
実験では紙幣のかわりにもっとつかみやすい厚紙の短冊または紙製の筒を用意します。
ここでは厚紙の短冊を使うことにしますが、ラップの芯など、身近なものを用意出来ればつかみやすくて実験しやすいでしょう。
【製作】
上記の自由落下の公式を使って0.04~0.24秒の時間にものが落下する距離を0.02秒毎に計算して次の表の空欄を埋めてください。
時間(秒) | 0.04 | 0.06 | 0.08 | 0.10 | 0.12 | 0.14 | 0.16 | 0.18 | 0.20 | 0.22 | 0.24 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
距離〔cm〕 |
短冊に落ち始めの位置とそれぞれの落下距離のところに横線を描きます。
すべての線が描き終えたら先生からの正解となる短冊を貸してもらい、自分たちの求めた位置があっていることを確かめましょう。
自分たちが描いた線が間違っていなかったらその短冊を厚紙または紙の筒に貼り付けます。
- 相手の人が厚紙の上端を持ち、被検者は短冊の下端を親指と人差し指ですぐつかめるように、指の間隔を1センチほど開けて待ちます。
- 相手の人が短冊を離したと見た瞬間、被検者は短冊をつかみます。
- 短冊をつかんだ位置から自分の反射の反応時間を記録します。
自分の反応時間の平均を計算してみましょう。つかめなかったらその欄に×の印をつけましょう。
最近、ながらスマホの危険性が注意されるようになりましたが、
この実験をスマホで話しかけながら実験をしてみるとその危険性が実感できることでしょう。
回 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 平均 |
---|---|---|---|---|---|---|
時間(s) |
老人の方は暗順応が遅くなるといわれます。自動車の運転免許更新のときに高齢者の講習でそれを確かめる検査も行われています。
みなさんの昼と夜とでは反応時間に違いはあるのでしょうか。明るいところと暗いところで実験すると反応時間に違いはあるのでしょうか。
白いものと黒いものに対する反応時間に違いはあるもでしょうか。まだいろいろと条件を変えてみるといろいろな実験ができます。
みなさんも新しい条件の実験に挑戦してみましょう。
高速道路で108〔㎞/h〕=( )〔m/s〕の速さで自動車の運転をしているとき、
危険を感じてブレーキが働き始めるまでに自動車はそのまま進んでしまう距離はいくらとなるでこのことに意外と時間がかかるのではないでしょうか。
この実験で得られたあなたの反応時間のデータを使って計算してください。( )〔m〕
ただし、実際に運転しているときのことを考えると、もっと他にも考えなければならないことがいろいろとあります。その一つを考えてみましょう。
ブレーキを踏む足は指よりも重く、質量が大きく、動かしにくい(慣性が大きい)ことです。
それともう一つ考えないといけないのが自動車の構造上ブレーキには踏むとすぐには聞き始めないように遊びが設けてあります。
このほかにも危険を感じてからブレーキを踏む必要があると判断する時間が必要です。このことに意外と時間がかかるのではないでしょうか。
これらいろいろなことを考え、ブレーキがかかるまでの1秒くらいはそのままの速さで走っていくことになるでしょう。
ではその距離を計算してみましょう。
【計算式】s〔m〕=( )×( )〔m〕
ブレーキを踏んでから自動車が止まるまでにはさらに制動距離も加えて計算しなければなりません。
ここで示したように高速道路で自動車を運転するときには前の自動車との車間距離を十分にとっておかなければなりません。
もちろん天候によるブレーキの利き具合の違いなど、数え上げればきりがありません。
いずれにしろ危険を感じたときでも事故に巻き込まれないようにするにはどのようなことをすればいいのか、日ごろからよく考えておきましょう。
免許を取得するとき講習会でも強調されていることがあります。
高速道路での運転では急( )、急( )、急( )は事故の元です。
みなさんは自動車運転に適した素質を持っていますか。運転免許を取得しようと思ったときにはここで学んだことをよく思い出してください。
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